佐藤雅彦「考えの整頓」

by osicoman on 12/6/2011

著者の名前を知らなくても、「ピタゴラスイッチ」「0655」「2355」の企画・監修をしたり、プレイステーション用ソフト「I.Q.」を作ったり、「ポリンキー」「バザールでござーる」のCMを手がけた人、と言えば、ほとんどの人は分かるのでは。この本は、そんな著者の、暮しの手帖での連載を一冊にまとめたもの。ちなみにぼくは「尊敬する人はだれか」と聞かれたら、佐藤雅彦と松本人志と宮本茂と答えます。いつも。

ぼくらがふだんの暮らしのなかで素通りしてなんとなく受け入れてしまっている、世界の仕組みや人間の感覚のするどさ。そういうものを見逃さず、ひとつひとつていねいに「なぜそうなのか」を、平易な言葉で解き明かしていく。最初から最後まで、感心しっぱなし。ここで挙げられているものの背後には、まだちゃんと言葉に定着できていないような事柄がこの何倍もあるんだろうな、なんて想像すると、わくわくするような、ちょっと怖いような気持ちになる。

全体的に、おだやかなトーンなんだけど、うしろのほうに載っている文章が、とてもガツンときた。

私たちが生きていく過程で必要なのは、すでに分かりやすい形に加工されている情報を摂取し、頭を太らすことでなく、情報という形になっていない情報を、どのくらい自分の力で噛み砕き、吸収していくかということなのである。

この本に載っていることは、つまりこれのいろんな例なんだな、と。じぶんはどうだ、と考えて、このままじゃいけないな、と思った。ほんとうに。

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